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創刊70周年

スペシャルインタビュー

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vol.9 万城目学スペシャルインタビュー

万城目学

1976年大阪府生まれ。2006年『鴨川ホルモー』でボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。『鹿男あをによし』『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』『プリンセス・トヨトミ』『とっぴんぱらりの風太郎』『パーマネント神喜劇』等、著書多数。

改稿に三カ月。最後に何が待っているかはお楽しみ。

構成:タカザワケンジ、撮影:ホンゴユウジ

――『バベル九朔』が文庫化されます。文庫化にあたって大幅に改稿されたそうですが、万城目さんにとっては珍しいとか。

万城目 初めてですね。二〇〇枚くらい削って、四〇枚くらい足しています。いわばディレクターズカット完全版です。

──主人公は作家をめざして会社を辞め、バベル九朔という雑居ビルの管理人をしています。その設定には万城目さんの実体験が生かされているんですよね。単行本刊行のときには「三分の一自伝」だとおっしゃっていました。

万城目 改稿したことで一〇〇%フィクションになりました。自分の体験がどうこうという自覚が完全になくなりましたね。というのは、自分はやっぱり小説家やなと思ったんです。自伝の要素なんか要らない。

──単行本のとき、初めて小説に自伝的要素を入れた、とおっしゃっていましたけど。

万城目 それは甘えですね。

──厳しいですね(笑)。

万城目 自分の中で居心地が悪かった。書いたときにはいいと思ったんでしょうけど、後から振り返ると、こういう一冊があることが気持ち悪かったんですよね。

──たしかに文庫版はスピード感がありますね。作者のことを考える余裕がないかも。

万城目 コストカッターみたいな目で自分の作品を見ました。読み直すと、あかんところが浮いて見えるんですよ。カットして、書き足して。三カ月かかりました。

──バベル九朔に秘められた謎。そして、その内部にあるもう一つのバベル九朔……。大幅に書き直したとはいえ、単行本から引き続き、やはり「奇書」と呼びたくなるような独特な世界が展開します。

万城目 文庫版で初めて読む人がどんな感想を持つのかが気になりますね。両方読んでくれる人なんてまずいないから。

──これだけ手を入れていると、単行本の読者も気になると思いますよ。両方読んで、単行本派と文庫版派に分かれて論争があるかもしれないですね。

万城目 僕は文庫派ですね(笑)。文庫版の『バベル九朔』はあくまでも冒険小説。主人公がバベル九朔という雑居ビルをひたすら上へ上へと登っていく物語です。最後に何が待っているかはお楽しみ。とにかく楽しんでもらえれば嬉しいですね。

──『バベル九朔』を文庫化するにあたって、約二〇〇枚カットして、約四〇枚足したということですけど、その方針は?

万城目 単行本を出したときに「わけがわからない」という読者からの感想がものすごく多くて、ずっと悩んでいたんです。僕の感覚だと、固形物を提示したつもりなんだけど、感想は「いままでのような飲み物じゃない」。固形物として味わってもらえなかったのが残念だなあ、と。

──『バベル九朔』の世界にまず入ってきてほしいと。

万城目 そのために無駄なものを省きました。もともと雑居ビルから一歩も外に出ない話を書きたいと思っていたので、ビルの中で起きることをより純粋に求めたところがありますね。

──なるほど。しかも雑居ビルという場所は『バベル九朔』の大きな魅力です。

万城目 いわゆる昭和の猥雑でごみごみした雑居ビルそのものがもうすぐなくなるでしょうね。いまの建築法に違反しているものが多いし、老朽化していますから。

──高度経済成長期のはちゃめちゃな時代がああいう雑居ビルを生んで、そこに夢が詰まっていた。『バベル九朔』は一つの時代へのレクイエムかも、と思います。

万城目 不思議な小説ですよね。三年ぶりに読んで、自分でもよくわからなかったですからね(笑)。文庫版では次の展開が早く来るので、退屈はさせない自信があります。でも、読者に媚びたわけではないので、わからないことはわからないままです。そのほうが面白いと思うから。でも……どうなんやろ。これが面白いのかどうか。読者に感想を聞くまでわからないですね。

万城目学 文庫最新刊
『バベル九朔』
スペシャルコミカライズ!

2月23日に発売の『バベル九朔』を、平戸三平が冒頭部分をコミカライズ!

『バベル九朔』

『バベル九朔』

全編ビルの中で繰り広げられる冒険譚!

作家志望の俺が管理人を務める5階建ての雑居ビル「バベル九朔」。だが謎の女に追われて目覚めると、何故か階段と見知らぬテナントが遙か上まで続いていた。ビルに隠された壮大な秘密とは?

  • 定価:本体680円+税
  • 発売日:2019年2月23日
書籍詳細

抽選で10名様に万城目学サイン入り
メッセージカードプレゼント!

応募方法

『バベル九朔』(角川文庫)の帯についている応募券を郵便はがきに貼り、
①郵便番号 ②住所 ③氏名(ふりがな) ④電話番号 ⑤性別 ⑥年齢 ⑦作品の感想をご記入のうえ、以下のあて先までご応募ください。

応募券見本

あて先

〒102-8078 KADOKAWA文芸局「バベル九朔 プレゼント」係

しめ切り

2019年3月31日(当日消印有効)

注意事項

  • はがき1枚につき応募は1口まで。おひとりで複数口の応募が可能ですが、当選は1口のみとなります。
  • 記入漏れや応募券が剥がれている場合、応募をお受けできません。
  • 当選発表は賞品の発送(2019年5月頃予定)をもって代えさせていただきます(発送先は日本国内に限ります)。
  • 賞品の譲渡(転売・オークション出品を含む)をしないことを応募・当選の条件とします。
  • 作品の感想は弊社の出版物や各種PR物に掲載させていただく場合があります。
  • 応募に際しご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

KADOKAWAアプリで書き下ろしエッセイ
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角川文庫70周年&
『バベル九朔』文庫版発売記念
万城目学サイン会 開催!

開催日時

2019年3月30日(土) 14:00~(整列開始13:45)

会場

三省堂書店札幌店 店内特設会場

参加条件・応募方法

詳細はこちら

万城目学 作品紹介

『鴨川ホルモー』

『鴨川ホルモー』

謎の競技「ホルモー」にかける大学生たちの青春!!

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祗園祭の宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!

  • 定価:本体560円+税
  • 発売日:2009年02月25日
書籍詳細
『ホルモー六景』

『ホルモー六景』

全世界のホルモー者に告ぐ、今度は「恋」だ!!

あのベストセラーが恋愛度200%アップして帰ってきた!……千年の都京都を席巻する謎の競技ホルモー、それに関わる少年少女たちの、オモシロせつない恋模様を描いた奇想青春小説!

  • 定価:本体640円+税
  • 発売日:2010年11月25日
書籍詳細
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

驚きと感動のマキメワールド!

元気な小1、かのこちゃんの活躍。気高いアカトラの猫、マドレーヌ夫人の冒険。誰もが通り過ぎた日々が輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心に染みわたる。奇想天外×静かな感動=万城目ワールドの進化!

  • 定価:本体560円+税
  • 発売日:2013年01月25日
書籍詳細
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