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スペシャルインタビュー

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vol.7 京極夏彦スペシャルインタビュー

京極夏彦

1963年、北海道生まれ。94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。2004年『後巷説百物語』で直木賞受賞。主な角川文庫の著作に『嗤う伊右衛門』『鬼談』など。

小説の基になったのは、映画『妖怪大戦争』の素案

構成:朝宮運河、撮影:首藤幹夫

――『虚実妖怪百物語』が文庫化されました。原稿用紙にして1900枚、京極小説史上最長の超大作です。

京極 『怪』という雑誌に、足かけ6年にわたって連載した小説です。馬鹿話が延々と続くだけの小説なので、どこでやめてもよかったんですが、なぜか編集部に止められることもなく、気がついたらすごい長さになっていました。

──『怪』に関係した小説家・マンガ家・編集者、その他多くの出版関係者が妖怪にまつわる事件に巻きこまれてゆく、という驚きの「実名小説」です。

京極 2005年に公開された『妖怪大戦争』という映画がありまして、その時に僕が作った素案がこの小説の基になってます。紆余曲折あって映画はまた違う話になったんですが、『怪』の馬鹿な関係者たちが加藤保憲(荒俣宏『帝都物語』の黒幕的キャラクター)と対峙するという冗談みたいな展開が捨てられなかった(笑)。

――京極さん自身をはじめ、荒俣宏さん、水木しげるさん、黒史郎さん、村上健司さんと個性豊かなキャラクターが登場し、抱腹絶倒のやり取りをくり広げます。

京極 実在する人物に関しては、誇張することなく、ありのままに描いています。作中のセリフやエピソードも、僕がこれまであちこちで見聞きしたものを、パッチワークのようにつなぎ合わせている。こんな人が本当にいるのか、と信じがたいかもしれませんが、僕のまわりには……いるんですよ(笑)。もちろん登場人物をまったく知らなくても、問題なく楽しめる作りにしようと心がけてはいますが。

――日本各地に妖怪が出現。マスコミに取りあげられ、国中が大騒ぎになります。こういう形で妖怪が登場するのも、京極作品では初めてですね。

京極 初めてですねえ。そんなものはいないし、いないということをくり返し小説に書いてきたわけですから。でも、今回も同じといえば同じなんです。妖怪がはっきり目に見える形で出てきた時点で、僕の読者なら「おや、おかしいな」と気がつくかもしれないですしね。当然そこには何かしらの意図があるわけですが。

――世相が悪化するにつれて妖怪は厳しい目を向けられ、『怪』も廃刊に追い込まれてしまう。そんなストーリーは現代社会の息苦しさを反映しているようにも思えます。

京極 現代を風刺したり皮肉ったり、という意図はまったくありませんでした。書き始めたのは何年も前ですから。ただ妙に世相とシンクロするところがあって、そこはイヤな感じではありましたね。最近は、自分が気に入らないものを徹底的に排斥する風潮があるでしょう。そんなに嫌なら関わらなけりゃいいのに、許せないとか主張する。存在するなとまでいう。少し生きたら気に入らないものなんて山ほど出て来ますよ。それを「どうでもいい領域」に放り込んで、なんとなくやり過ごすというのは大切な知恵だと思う。どうでもいいものを認めない社会は、ぎすぎすして宜しくないですねえ。

――その「どうでもいいもの」の最たるものが妖怪ですね。

京極 どうでもいいですねえ(笑)。世の中には無駄とか、遊びの部分が絶対に必要なんです。建築物と同じで、その方が構造的にも強い。作中でも書きましたが、妖怪はドラマ『水戸黄門』における「うっかり八兵衛」みたいな存在です。ぎすぎすしがちな社会を和ませる潤滑油です。これは僕に限らず、妖怪仲間が共通して感じていることじゃないかと思いますけどね。

――“妖怪大戦争”と呼ぶのがぴったりの、壮大なクライマックスも読みどころです。

京極 いや、そんなに盛り上がらないでしょ(笑)。でもあれ、『レディ・プレイヤー1』ですよね。こっちのほうが早いけど。誰かが実写化してくれるなら見てみたいですが、権利関係がややこしくてまず不可能でしょうね(笑)。あの部分は、妖怪のアニメ・マンガ・それと特撮好き限定コーナーですね。そうでない人は読み飛ばしてください。

――では、これから『虚実妖怪百物語』を読もうという方に、メッセージをお願いします。

京極 連載期間中に水木しげるさんが亡くなるという、大きな出来事がありました。水木サンも主要登場人物の一人なので、水木サンの不在は結末に影響しています。ふり返ってみると、雑誌『怪』に関わった人たちの歴史としても読めます。ま、お馬鹿な人たちがたくさん出てくる娯楽作品なので、気楽に読んでいただくのが一番だと思いますけども。

京極夏彦 文庫最新刊
『虚実妖怪百物語』
スペシャルコミカライズ!

12月22日に発売の『虚実妖怪百物語』を、ゆうきまさみが冒頭部分をコミカライズ!

『虚実妖怪百物語 序/破/急』
『虚実妖怪百物語 序』
『虚実妖怪百物語 破』
『虚実妖怪百物語 急』

『虚実妖怪百物語 序/破/急』

日本中に、妖怪現る。京極版“妖怪大戦争”!

突如、各地に妖怪が出現した。政府は駆逐を開始し、国民の間には荒んだ空気が蔓延していく。その裏には、魔人・加藤保憲の影が……。榎木津平太郎、荒俣宏、京極夏彦らは原因究明に乗り出すが!?

  • 定価:(合巻版)本体1800円+税、(分冊版)各800円+税
  • 発売日:2018年12月22日
書籍詳細

抽選で10名様に京極夏彦サイン入り
メッセージカードプレゼント!

応募方法

『虚実妖怪百物語』(角川文庫)の帯についている応募券1枚を郵便はがきに貼り、
①郵便番号 ②住所 ③氏名(ふりがな) ④電話番号 ⑤性別 ⑥年齢 ⑦作品の感想をご記入のうえ、以下のあて先までご応募ください。

応募券見本

あて先

〒102-8078 KADOKAWA文芸局「虚実妖怪百物語 プレゼント」係

しめ切り

2019年1月31日(当日消印有効)

注意事項

  • はがき1枚につき応募は1口まで。おひとりで複数口の応募が可能ですが、当選は1口のみとなります。
  • 記入漏れや応募券が剥がれている場合、応募をお受けできません。
  • 当選発表は賞品の発送(2019年3月頃予定)をもって代えさせていただきます(発送先は日本国内に限ります)。
  • 賞品の譲渡(転売・オークション出品を含む)をしないことを応募・当選の条件とします。
  • 作品の感想は弊社の出版物や各種PR物に掲載させていただく場合があります。
  • 応募に際しご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

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角川文庫70周年×三省堂書店池袋本店3周年企画
『虚実妖怪百物語』刊行記念
京極夏彦さん・宮部みゆきさん朗読&トーク
&サイン本即売会開催!

開催日時

2019年1月20日(日) 16:00~(開場15:30)

会場

池袋近郊(詳細はご当選者のみにお伝えいたします)

参加条件・応募方法

詳細はこちら

京極夏彦 作品紹介

『鬼談』

『鬼談』

失せろ。この人でなしの鬼め。

藩の剣術指南役の家に生まれた作之進には右腕がない。その腕を斬ったのは、父だ。一方、現代で暮らす「私」は見てしまう。幼い弟の右腕を掴み、無表情で見下ろす父を。過去と現在が交錯する「鬼縁」他9篇。

  • 定価:本体560円+税
  • 発売日:2018年02月24日
書籍詳細
『西巷説百物語』

『西巷説百物語』

京極節の真骨頂、シリーズ第五弾。

人が生きて行くには痛みが伴う。そして、人の数だけ痛みがあり、傷むところも、傷み方もそれぞれちがう……様々に生きづらさを背負う人間たちの業を、林蔵があざやかな仕掛けで解き放つ。

  • 定価:本体819円+税
  • 発売日:2013年03月23日
書籍詳細
『数えずの井戸』

『数えずの井戸』

足らぬから。欠けているから。永遠に満たされぬから――。

数えるから、足りなくなる――。暗く冷たい井戸の端で、「菊」は何を見たのか。それは、はなかくも美しい、もうひとつの「皿屋敷」。怪談となった江戸の「事件」を独自の解釈で語り直す、傑作怪談!

  • 定価:本体920円+税
  • 発売日:2014年08月23日
書籍詳細
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