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角川文庫
創刊70周年
スペシャルインタビュー
角川文庫とともに歩み、ゆかりの深い著者にインタビュー!
最新刊の冒頭試し読み漫画やメッセージカードのプレゼントも!
堂場瞬一
1963年茨城県生まれ。2000年に『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。主な著書に「アナザーフェイス」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズほか、『黒い紙』『砂の家』などがある。
舞台の街の特徴さえ掴めれば、自然と人物ができ上がっていく。
構成=高倉優子、撮影=ホンゴユウジ
――『十字の記憶』が文庫化されます。二十年ぶりに再会した、高校の同級生である新聞記者と刑事の“辛い”友情の物語です。
堂場 数年が過ぎて読み返すと粗が見えて手直ししたくなりますね(笑)。でも単行本と文庫は同じであるべきと思っているので、極力変えないようにしました。単行本を発表してから三年が過ぎ、社会の空気も変わったし、僕自身も当時は若かったなと思いますね。主人公たちとだんだん年齢差が開いてきて感覚のズレみたいなものを感じるんです。
──主人公の二人は三十代ですが、年齢設定には理由があるのでしょうか。
堂場 発展途上のキャラクターたちを描こうとすると三十代がちょうどいいんです。まだまだ若くて青い。四十代になってこの状態だったらダメでしょうけど、三十代だと許してもらえるかな、と。と言いながら、男はガキなんで、いくつになっても青いことを言っていてもいいのかもしれない(笑)。
――舞台となっている「白崎市」は東京近郊にある架空の街です。なぜ架空という設定にしたのですか?
堂場 実在する街を舞台にするのならば、徹底的に調べたり、ロケハンしてリアルに書かないと気が済まないんです。ただしきちんと調べたとしても東京近郊は変化のスピードが速いから書きづらい。以前、ある街の駅前の描写を書いたら、その半年後にはガラリと変わっていたんです。だったら架空の街のほうがいい。その場合、ゼロから要素を積み上げて街を造っていく楽しさがありますね。

――東京近郊という部分にもこだわりがあるのでしょうか。
堂場
東京への通勤圏ではあるけれど、大都市のど真ん中ではない郊外というのは、戦後日本の特徴だと思うんです。人口が増え、鉄道網が張り巡らされ、周辺がどんどん外に広がっていったわけですから。その一番先端のエリアに興味がありますね。
僕が小説で重視しているのはどこを舞台にするか、です。以前はキャラを立てることに気を取られていたけれど、今は違います。極端なことを言うと、舞台となる街の特徴さえ掴めたら、そこで暮らす人たちの姿が浮かび上がってきて人物が描けるんです。
――なるほど。また、堂場さんの小説には食事シーンが描かれることが多いですよね。今作でも、喫茶店から代替わりしたハンバーガーショップや、バイパス沿いのステーキハウスなどでの食事シーンが印象的でした。
堂場 その人物が何を考えているかとか、体調とか、誰と一緒にいるか……。そういったことを表したい時、食事を描くのは有効です。昔だったら車や洋服で個人の特徴や趣味を表現できたけど、今それを書くと「何スカしてるんだ?」となる(笑)。でも料理は誰でも食べるでしょう? たとえば、カレーばかり食べている人なら、カレーしか食べる暇のない多忙な人かもしれないし、単に死ぬほどカレーが好きなのかもしれない。つまり個性が描きやすいんです。
――面白いですね!
堂場 舞台の街に合わない店をあえて描いて、「この店、きっと二年後くらいには撤退しているんだろうなあ……」と想像する楽しさもあります。読みながら、「こんな店が、こんなところにあるわけないでしょ!」と突っ込んでもらえたら嬉しいです。
――この作品のカテゴリーは「青春×警察ミステリ」となっていますね。
堂場 青春ものといっても爽やかな話だと思っていたら騙されますよ(笑)。最近は、一から十まで丁寧に描いてある作品が人気だけど、僕はバサッとぶった切るように終わる小説も好き。本を閉じた後、結末や物語の続きを想像するって楽しいですよね。僕の頭の中では、初老になって再会する主人公たちの姿が浮かんでいるんです。きっとまた、嫌な感じになると思いますが。
堂場瞬一 文庫最新刊
『十字の記憶』
スペシャルコミカライズ!
10月24日に発売の『十字の記憶』を、きたがわ翔が冒頭部分をコミカライズ!









『十字の記憶』
警察小説の旗手が初めて挑んだ、
青春×警察ミステリ!
新聞社の支局長として20年ぶりに地元に戻ってきた記者の福良孝嗣は、着任早々、殺人事件を取材することになる。だが、その事件は福良の同級生二人との辛い過去をあぶり出すことになる──。
- 定価:本体760円+税
- 発売日:2018年10月24日
堂場瞬一サイン入り
メッセージカードプレゼント!
応募方法
『十字の記憶』(角川文庫)の帯についている応募券を郵便はがきに貼り、
①郵便番号 ②住所 ③氏名(ふりがな) ④電話番号 ⑤性別 ⑥年齢 ⑦作品の感想をご記入のうえ、以下のあて先までご応募ください。

あて先
〒102-8078 KADOKAWA文芸局「十字の記憶 プレゼント」係
しめ切り
2018年11月30日(当日消印有効)
注意事項
- はがき1枚につき応募は1口まで。おひとりで複数口の応募が可能ですが、当選は1口のみとなります。
- 記入漏れや応募券が剥がれている場合、応募をお受けできません。
- 当選発表は賞品の発送(2019年1月頃予定)をもって代えさせていただきます(発送先は日本国内に限ります)。
- 賞品の譲渡(転売・オークション出品を含む)をしないことを応募・当選の条件とします。
- 応募に際しご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。
KADOKAWAアプリで書き下ろしエッセイ
『街がくれた物語』配信中!
KADOKAWAアプリでは堂場瞬一の書き下ろしエッセイ『街がくれた物語』を配信中。本屋さんに行ってもらえるマイルを貯めて、プレゼントと交換しよう!
角川文庫70周年記念&ニコニコカドカワ祭り
堂場瞬一サイン会開催!
開催日時
2018年11月3日(土・祝) 14:00~15:00
会場
AER1階アトリウム
参加条件
- 角川文庫9月新刊『黒い紙』、10月新刊『十字の記憶』を当店でお買い上げの方に、
レジカウンターにて整理券をお配りします。(整理券1枚でどちらにもサインいたします。)
堂場瞬一 作品紹介

『黒い紙』
警察小説の旗手が放つ、企業謀略ミステリ!
大手総合商社に届いた、謎の脅迫状。 犯人の要求は現金10億円。 巨大企業の命運はたった一枚の紙に委ねられた。 警察小説の旗手が放つ、企業謀略ミステリ!
- 定価:本体800円+税
- 発売日:2018年09月22日

『天国の罠』
行方不明になった彼女の目的とは?
ジャーナリストの広瀬隆二は、代議士の今井から娘の香奈の行方を捜してほしいと依頼される。彼女の足跡を追ううちに明らかになる男たちの影と、隠された真実とは。警察小説の旗手が描く、社会派サスペンス!
- 定価:本体705円+税
- 発売日:2012年10月25日

『逸脱 捜査一課・澤村慶司』
警察小説の旗手による、新たな刑事・澤村シリーズ!
10年前の連続殺人事件を模倣した、新たな殺人事件。県警を嘲笑うかのような犯人の予想外の一手。県警捜査一課の澤村は、上司と激しく対立し孤立を深める中、単身犯人像に迫っていくが……。
- 定価:本体667円+税
- 発売日:2012年09月25日
スペシャルインタビュー
バックナンバー

vol.13 米澤穂信『いまさら翼といわれても』刊行記念インタビュー

vol.12 黒川博行×逸木裕 特別対談

vol.11 黒川博行『喧嘩』刊行記念インタビュー

vol.10 万城目学×門井慶喜 特別対談

vol.9 万城目学『バベル九朔』刊行記念インタビュー

vol.8 京極夏彦×内藤了 特別対談

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vol.6 堂場瞬一×落合 博 特別対談

vol.5 堂場瞬一『十字の記憶』刊行記念インタビュー
