1 角川文庫
創刊70周年

スペシャルインタビュー

角川文庫とともに歩み、ゆかりの深い著者にインタビュー!
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vol.1 宮部みゆき スペシャルインタビュー

宮部みゆき

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。99年に『理由』で直木賞受賞。主な角川文庫の著作に「三島屋変調百物語」シリーズなどがある。

私なりの試行錯誤と思いが、この小説には詰まっています。

構成=朝宮運河、撮影=ホンゴウユウジ

――『過ぎ去りし王国の城』が文庫化されました。高校入学を控えた中学生の真と珠美が、奇妙なデッサン画の中に入りこむというファンタジー長編です。

宮部 そもそもは主人公が絵の世界に入りこむ、というワンアイデアから生まれた作品です。書き始めるまでは120枚くらいの中編で収まるかな、と思っていたんですが、いざ書いてみると意外に長くなって単行本一冊分になりました。それでも読者の方々からは「宮部作品にしては短い」という感想をよくいただいて、普段わたしはどれだけ長いものを書いているんだろう、って(笑)。絵画や写真の世界に入りこむというアイデア自体は、これまで多くの作家が手がけている定番ネタなんですけど、異世界のサイズに合わせたアバター(分身)を描きこまないと行動できない、という設定はあまりないと思います。わたしはテレビゲームをする人間なので、異世界を動き回るにはアバター、という発想はごく自然に出てきました。それでヒロインの珠美ちゃんは、絵が得意な女子中学生ということになっているんです。

──2人と行動をともにする漫画のベテランアシスタント、パクさんも印象的なキャラクターですね。

宮部 パクさんは屈折を抱えた中年男性なんです。アシスタントとしての仕事ぶりを周囲に認められていても、自分の人生はこれでいいのかという迷いがある。彼の気持ちはよく分かるんです。わたしはたまたま好きなミステリで生計を立てていますが、もし作家デビューすることができていなかったら、きっとパクさんのような悔しさを抱えていたはず。真と珠美とパクさんに共通するのはまだどこにも属していない、マージナルな存在であること。そうした3人が絵の中と響き合っていくんです。

――異界にたたずむ古いお城は、宮部さんにとってどんな場所なのでしょうか。

宮部 年齢や性別を問わず、誰の心にもこういう場所がある気がするんです。顧みられなくなって荒れ果てた、淋しいお城のような空間。それは思春期に立ち現れることもあれば、中年になってから広がることもある。ある種のエンターテインメント小説は、そこにどう光を当てるかが肝になるんだと思いますね。この小説で気に入っているのは、異界に行くとエネルギーを吸い取られて、猛烈にお腹が空いてしまうという設定。ファンタジーでもホラーでも、食事をするシーンってとても大事だと思うんです。悲しい時でも人はお腹が空くし、食べたらまたがんばろうという気になれる。3人がピザやお寿司をむしゃむしゃ口に放りこむシーンは、書いていて楽しかったです。

――冒険の中で絆を深めてゆく、真と珠美の姿からも目が離せません。力強いラストシーンには勇気をもらいました。

宮部 ある意味、現実を反映したシビアな物語なので、ラストは2人のこれからを感じさせるものにしようと決めていました。後味の悪い話は「三島屋」シリーズでさんざん書いていますし(笑)、ハッピーエンドで終わろうと。安心して手にとって下さい。青春小説らしい青春小説を書いた経験があまりないので、ティーンエージャーの読者の皆さんにどう受け止められるか楽しみです。

――読者にメッセージをお願いします。

宮部 ファンタジーであり、青春ものであり、中年のクライシスを描いた小説でもあります。わたしなりの試行錯誤と思いが詰まっているので、この文庫化をきっかけに多くの人に読んでもらえると嬉しいですね。若い方々にも、パクさんのキャラクターを通して、人生半ばを過ぎた大人はこんな悩みを抱えているんだ、と知ってもらえたらいいなと思います。

宮部みゆき 文庫最新刊
『過ぎ去りし王国の城』
スペシャルコミカライズ!

6月15日に発売の『過ぎ去りし王国の城』を、『ナナマルサンバツ〜7○3×〜』やコミック版『サマーウォーズ』の杉基イクラが冒頭部分をコミカライズ!

表紙

『過ぎ去りし王国の城』

誰の心にも、自分だけの城がきっとある――。
宮部みゆきエンタメ渾身作!

早々に進学先も決まった中学三年の二月、ひょんなことから中世ヨーロッパの古城のデッサンを拾った尾垣真。やがて絵の中にアバター(分身)を描きこむことで、自分もその世界に入りこめることを突き止める。

  • 定価:本体680円+税
  • 発売日:2018年06月15日
特設サイトはこちら

宮部みゆきサイン入り
メッセージカードプレゼント!

応募方法

『過ぎ去りし王国の城』(角川文庫)の帯についている応募券を郵便はがきに貼り、
①郵便番号 ②住所 ③氏名(ふりがな) ④電話番号 ⑤性別 ⑥年齢 ⑦作品の感想をご記入のうえ、以下のあて先までご応募ください。

応募券見本

あて先

〒102-8078 KADOKAWA文芸局「過ぎ去りし王国の城 プレゼント」係

しめ切り

2018年7月31日(当日消印有効)

注意事項

  • ※はがき1枚につき応募は1口まで。おひとりで複数口の応募が可能ですが、当選は1口のみとなります。
  • ※記入漏れや応募券が剥がれている場合、応募をお受けできません。
  • ※当選発表は賞品の発送(2018年8月下旬予定)をもって代えさせていただきます(発送先は日本国内に限ります)。
  • ※賞品の譲渡(転売・オークション出品を含む)をしないことを応募・当選の条件とします。
  • ※応募に際しご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

宮部みゆき 作品紹介

『おそろし 三島屋変調百物語事始』

『おそろし 三島屋変調百物語事始』

江戸中の不思議話が、娘の心を溶かしてゆく。
「三島屋」シリーズ第1弾!

17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに心を閉ざした。今は江戸で袋物屋・三島屋を営む叔父夫婦の元で暮らしている。三島屋を訪れる人々の不思議話が、おちかの心を溶かし始める。百物語、開幕!

  • 定価:本体720円+税
  • 発売日:2012年04月25日
書籍詳細
『お文の影』

『お文の影』

宮部時代小説の人気キャラクター勢揃い! 
全6編のあやしの世界。

月光の下、影踏みをして遊ぶ子どもたちのなかにぽつんと女の子の影が。影の正体とその因縁とは。「ぼんくら」シリーズの政五郎親分とおでこの活躍する表題作をはじめ、全6編のあやしの世界。『ばんば憑き』改題。

  • 定価:本体640円+税
  • 発売日:2014年06月20日
書籍詳細
『あやし』

『あやし』

その話が、どういうふうに終わるのか、おまえは、ちゃんと聞いたのか?

木綿問屋の大黒屋の跡取り、藤一郎に縁談が持ち上がったが、女中のおはるのお腹にその子供がいることが判明する。店を出されたおはるを、藤一郎の遣いで訪ねた小僧が見たものは……江戸のふしぎ噺9編。

  • 定価:本体560円+税
  • 発売日:2003年04月25日
書籍詳細
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